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リトアニア料理 ミートパイ【キビナイ】のレシピ

リトアニアのトラカイ名物【Kibinai/キビナイ】の作り方を紹介するよ。

キビナイは、肉を包んで焼く半月型のミートパイ。
日本語で「パイ」と聞くと、ミルフィーユや市販の冷凍パイシートのような折り込み生地(pâte feuilletée/英語ではpuff pastry)を思い浮かべがちですが、英語圏でいう「pie」はもっと広く、肉や果物などの具を生地で包んだり覆ったりして焼く料理全般を指します。

キビナイに使われるのは、pâte feuilletéeのようにバターを層状に折り込んで膨らませる生地ではなく、バターを小麦粉に切り込んでから水分でまとめる、甘くない練り込み式の生地です。分類としてはpâte briséeに近いタイプで、しっかり噛める生地と、じゅわっと出る肉汁が魅力。

以前のレシピは生地にサワークリームを入れる配合だったのですが、食べ比べてみたところ、正直、高温で焼いた生地の香ばしさが強く、サワークリームの風味はあまり感じられなくなってしまいました。今回は配合を見直して、余計なものを削ってもう少し軽く、歯切れよく、包みやすく焼きやすい方向に寄せています。
薄力粉を主体にして硬さを抑えつつ、少量の強力粉で「包んで焼くための最低限の骨格」を作り、さらにバターを増やすことで、焼成中にほどけるような食感を狙います。リトアニア料理全般に言えることだけど、派手な時短レシピではありません。ただ、前よりは手を付けやすいはずです。

作り方

【材料(6個分)】
軽食なら1個、食事なら2個くらいが目安です。

生地

💡 材料の分量を変更すると、その材料を基準に全体を再計算します。

材料
分量
ベーカーズ%
粉類 薄力粉 + 強力粉 100%
g
100.0%
薄力粉 基準の一部
g
72.0%
強力粉 基準の一部
g
28.0%
冷たいバター
g
44.0%
総量の0.6%
g
冷たい水
g
12.0%
全卵
g
20.0%
合計
442.5 g

中身

💡 材料の分量を変更すると、その材料を基準に全体を再計算します。

材料
分量
ベーカーズ%
豚肩ロース 基準
g 5〜7mm角程度に刻む
100.0%
玉ねぎ
g みじん切り
33.3%
総量の1.1%
g
水分
g 水または出汁
10.0%
フレッシュハーブ お好みで
パセリ、ディル、タイムなど
黒胡椒 お好みで
サワークリーム
g
10.0%
合計
465.0 g

仕上げ

💡 材料の分量を変更すると、その材料を基準に全体を再計算します。

材料
分量
ベーカーズ%
卵液 基準
g 全卵を溶いたもの。必要量だけ使用
100.0%
生クリーム お好みで
卵液と1:1で割る場合のみ
合計
30.0 g

起きがちな失敗(先に読むと成功率が上がる)

  • 生地が硬い:水が入ってから練りすぎています。まとまれば十分で、パンのようになめらかにする必要はありません。
  • 生地が縮む:グルテンを十分に落ち着かせていません。生地ができてから最低でも1時間(可能であれば1日)は冷蔵庫で休ませましょう。
  • 中身がボソボソする:塩を入れて肉を練る工程が足りない可能性があります。塩で肉たんぱく質を溶かし、保水性と結着性を作ります。
  • 焼いている途中で割れる:留め方が甘いか、焼成時間が長すぎて水蒸気の圧力が強くなっています。閉じる際、生地を潰すようにぎゅうっとつまみ、つまようじか包丁の刃先で蒸気を逃すための細かい穴を開けてみましょう。
  • 焼き色が弱い:低温すぎるか、表面が乾く前に焼成が終わっています。このレシピは、1個あたり生地約75g・タネ約68g、厚さ3mm程度、成形後にしっかり冷やす前提で焼成条件を決めています。サイズや厚みを変える場合は、焼成時間も変わるので注意してください。

バターを1cm角程度に切って冷蔵庫で冷やします。豚肩ロースは5〜7mm角程度に刻み、玉ねぎは細かいみじん切り、ハーブも刻んでおきます。

この生地で大事なのは、バターを冷たいまま扱うことです。冷えたバターが小さく散った状態で焼かれると、中の水分が蒸気になって周囲を押し広げ、生地にほぐれるような層感と歯切れを作ります。逆に常温で練り込んでしまうと、バターが粉に均一に回りすぎて、軽さよりも締まりが出やすくなります。

ボウルに薄力粉、強力粉、塩を入れて混ぜます。冷たいバターを加え、指先でつぶしながら粉と合わせて、ザラメ糖状〜小さい豆状にします。

冷たい水と全卵を別容器で混ぜ、②に加えます。フォークやベンチスクレーパーで切るように混ぜ、粉けがほぼ消えたら手で押しまとめます。まだボソボソでも大丈夫です。

水が入ると、小麦粉中のグルテニングリアジンが結びついてグルテンを作り始めます。ここで長くこねると、生地の一体感は増しても、焼いたときに硬い・縮む・重い方向へ寄りやすい。キビナイはパン生地ではないので、グルテンは「包めるだけ」作れば十分です。

生地をラップで包み、冷蔵庫で30〜40分(できれば一晩)休ませます。

生地を休ませている間にタネを作ります。刻んだ豚肩ロースに塩、黒胡椒、水または出汁を加え、少し粘りが出るまで1分ほど練ります。そのあとで玉ねぎとハーブを加え、均一に混ぜます。

塩を加えて肉を練ると、ミオシンなどの筋原線維たんぱく質が表面に出てきて、タネに粘着性が生まれます。これによって肉同士がつながりやすくなり、焼いたときに肉汁を抱え込みやすくなります。30gの水分は薄めるためではなく、たんぱく質の網目に抱え込ませて、しっとり感を作るための水分です。

生地を6等分して軽く丸めます。タネは1個あたり約68gを目安に分けます。生地10に対してタネ9くらいの割合が包みやすく、3mm程度の厚さでも閉じ目を巻き込みやすいです。タネが余った場合は、焼いて味見用にするか、スープの具にしてもOKです。

クッキングシートを敷き、その上に生地を載せて、さらにクッキングシートをもう一枚重ねます。もしくは打ち粉をした台で生地を扱います。直径10〜11cm程度の円形にのばします。厚みは3mm程度が目安です。

中央にタネをのせ、半月型に折って閉じます。閉じ目をしっかりつまみ、薄い部分があれば生地を寄せて補強しながら、上の合わせ目をくるくると後ろから手前に巻き込むように整えます。背側にごく小さな穴を1〜2か所だけ開けて蒸気の逃げ道を作ります。

上の部分の巻きはあくまで装飾用で、同じ巻き方にしなくてもいいのですが、ただ餃子のようにくっつけてしまうと焦げやすい構造になってしまうので、適当に丸めておきましょう。

成形したキビナイに卵液を塗り、冷蔵庫(可能であれば冷凍庫)で30分だけ冷やします。

冷やしたキビナイにもう一度卵液を塗り、冷蔵庫(または冷凍庫)に戻し、その間にオーブンを240℃に予熱します。

焼成中は、肉たんぱく質が収縮して細胞の中の水分が絞り出されてタネ中の水分が蒸気になり、内部圧が上がります。閉じ目が弱いと、その一番弱い部分から破れやすくなります。冷凍庫で冷やせない場合は、必ず爪楊枝を使って蒸気の逃げ穴を1〜2か所開けておきましょう。

天板にオーブンシートを敷いてキビナイを並べ、240℃で約15分焼きます。表面にしっかり焼き色がついたら完成です。初回だけ不安な場合は、1個だけ割って中心まで火が入っているか確認してください。焼き上がり後は5分ほど休ませてから食べます。

キビナイはそのままでもおいしいけれど、水分量が少なく重ための生地なので、チキンスープが添えられるのが定番です。

リトアニアでよく使われるハーブ入りのブイヨンの素

リトアニアではキューブのチキンスープと一緒に食べることも多いので、「うちはちょうど鶏の出汁があるわ~」という人はぜひそれを使ったほうがおいしいけど、「こっちとらはこの謎のミートパイに何時間かけてると思ってんだよ!今から鶏から出汁を取れだと?!ぶっ殺すぞ!(byおだやかな心を持つ孫悟空)」という方は、鶏がらスープの素を少し薄めに溶いて、黒胡椒やディル、パセリあたりを足すと雰囲気はかなり近づきます。何より、この料理に何時間も費やしたあとの荒んだ心から少し遠ざかれます。…と言いつつも一応番外編としてはちょっとした出汁の取り方を載せておきます。

余ったハーブの茎や玉ねぎの芯(もしあればクズ野菜や肉の切れ端も)を鍋に入れます。

材料が浸る程度まで水を入れて一度沸かし、弱火にして30分程度、沸騰しない程度の温度(約90℃)を保ちます。

最終的に漉すので、灰汁は神経質に取らなくても大丈夫です。ただし、強く沸かすと脂が細かく分散・乳化し、凝固したたんぱく質も細かく散って、出汁の透明度が落ちやすくなります。澄んだスープにしたい場合は、ぐらぐら沸騰させず、90℃前後で静かに保ちましょう。

30分経ったら、ザルにキッチンペーパーを敷いて出汁を漉します。出汁をとった野菜や肉の量が少ない場合は鶏がらスープの素を、十分にある場合は塩を加えて味を調え、完成です。


キビナイとスープがそろったら、あとはトラカイ城の景色でも脳内再生(分かるかっ!)しながら食べよう。これでだいぶリトアニア旅行気分です。

作り方が分かりにくい、この工程はこうしたほうが良さそう、別の肉で試したい、こんな時間なんてないなど、意見や感想お待ちしてます!

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