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リトアニア郷土料理【ツェペリナイ】のレシピ

リトアニア料理を代表する、リトアニア定番の郷土料理の【Cepelinai/ツェペリナイ】のレシピを紹介するよ。

『Cepelinai/ツェペリナイ』は、『Cepelinas(飛行船)』に形が似ていることからそう名づけられた!
簡単に説明すると、じゃがいもの生地で挽肉を包んで茹でる芋餅。生地に生ジャガイモが使われるのが特徴。もちもちの生地は、日本人好みだと思うよ。美味しいけど作るのはかなりめんどくさいので一回作ってみてその手間と味のコスパは自分で判断してね(ごっくり)。
今流行りの時短とか簡単レシピとは逆行する料理だが、それが伝統的郷土料理というものだ。

作り方

【材料(ツェペリナイ4つ分)】
(リトアニア人なら2人前、日本人なら4人前)

生地(大き目の男爵5個程度)

💡 材料の分量を変更すると、その材料を基準に全体を再計算します。

材料
分量
ベーカーズ%
生ジャガイモ 基準
g すりおろして絞った重量
100.0%
茹でジャガイモ
g 火を通して皮を剥いた重量
50.0%
総量の0.5%
g
クエン酸 総量の0.2%
g レモン汁/酢でも代用可(弱め)。このレシピ量ならレモン汁20〜30g、穀物酢(酸度4〜5%)15〜25gが目安。味が酸っぱく感じる場合は減らす。
ビタミンC 総量の0.2%
g 家にない場合は省略可(色止めは弱くなる)。レモン汁はビタミンC粉末の代用にはならず、あくまで補助。
合計
604.8 g

中身

💡 材料の分量を変更すると、その材料を基準に全体を再計算します。

材料
分量
ベーカーズ%
挽き肉(豚もしくは合いびき肉) 基準
g
100.0%
玉ねぎ
g
50.0%
総量の1.0%
g
水分
g 出汁や牛乳など(ない場合は水で可)
10.0%
胡椒 お好みで
合計
323.0 g

ソース

💡 材料の分量を変更すると、その材料を基準に全体を再計算します。

材料
分量
ベーカーズ%
ブロックベーコン 基準
g
100.0%
玉ねぎ
g 半分程度
130.0%
サワークリーム
g
200.0%
ディル(フレッシュ)
g みじん切り。好みで増減
5.0%
お好みで
使うベーコンの塩味による
胡椒 お好みで
合計
435.0 g

起きがちな失敗(先に読むと成功率が上がる)

  • 生地が灰色〜黒っぽくなる:すりおろしたらすぐ酸(クエン酸/ビタミンC、またはレモン汁・酢)を混ぜて、空気に触れる時間を短くします。
  • 茹でている途中で割れる/穴が開く:生地のでんぷん量が足りないか、鍋がぐつぐつ沸騰しています。沈殿でんぷんを回収し、加熱は90〜95℃を維持(強い沸騰はNG)。
  • 鍋底にくっついて崩れる:入れた直後の1分だけ、木べらで底をなでるようにそっと動かして張り付きを防ぎます。
  • サワークリームが分離する:ソースは沸騰させない(ふつふつNG)。温めるだけにします。

1. ボールに冷水を張って全てのジャガイモを皮のまま漬けます。1個ずつ剥きながら冷水に戻します。

冷水に漬けることで、ジャガイモの変色を引き起こしてしまう酵素ポリフェノールオキシダーゼ(Polyphenol oxidase, PPO)の働きを遅くできるのと、浸っている間は空気を遮断できるので一石二鳥。

2. ジャガイモのうち一部(茹でて皮をむいた状態で200g分)を、皮つきのまま茹でる(サイズによっては40分~60分程度)か、電子レンジ(サイズによっては4分~6分程度)にかけるか、ロースト(サイズによっては40分~60分程度)して加熱します。熱いうちに皮を剥いて、軽く潰します。

冷ますと、糊化したでんぷんが老化(レトログラデーション)して締まり(硬化)、裏ごしすると細胞が壊れて粘りが出やすくなります。なので「熱いうちに軽く潰す」が無難。裏ごしせず軽く潰す場合は細胞へのダメージが控えめなので、粘りの出方もマイルドになります。

3. ジャガイモを加熱している間に、タネ用とソース用の玉ねぎをみじん切りにし、ブロックベーコンは1cmの角切りにしておきます。タネ用の玉ねぎは好みによって生で使うか、炒めます。

個人的には炒めて柔らかくしたほうがタネが結着しやすく、豚肉と玉ねぎの甘さの相性も良いのでおすすめです。ソース用の玉ねぎも結局炒めるので、作業としても流れが良いです。

4. フライパンに少量の油を引いて角切りにしておいたベーコンを中火で炒め、焼き色を付けて脂を溶かします。焼き色が付いてベーコンの脂がある程度溶け出たら、玉ねぎを投入して透明になるまで弱めの中火でシュエします。

玉ねぎをきつね色になるまで炒めると甘味が際立ちすぎて、クリームが余計重たく感じたり味のバランスが悪くなったりするので、あくまで「柔らかい・透明」に留めましょう。

5. 残っているジャガイモを剥いてすりおろし、計量しておいたクエン酸・ビタミンC(または代用品)を入れて手早く混ぜます。

6. すりおろした生地を、目の細かい布で絞ります。
絞った液体は捨てずに残しておき、でんぷんが沈殿したらでんぷんを回収して生地に混ぜます。残りの液体はジャガイモの香り成分や、少量のでんぷんがまだ残っているので、あとで茹で汁に混ぜます。

レモン汁/酢での代用について:
「酸の量」を1:10のように線形換算するとズレやすいです(pHは対数で、酸の種類やジャガイモ側の緩衝で効き方も変わる)。目安として、絞る前の生おろしジャガイモ重量に対して
レモン汁:3〜5%
穀物酢(酸度4〜5%):2.5〜4%
を加えると、「弱めだけど実用的」な色止めになります。酸味が気になる場合は下限から。なお、レモン汁はビタミンC粉末の完全代用にはなりません(あくまで補助)。

7. すりおろした生地と、潰した茹でジャガイモを混ぜ、塩を入れて全体が均一になるまで混ぜてまとめます。(生地完成)

生地は子ども用の粘土程度の固さが良いです。それより水分が少ないと形成するときや茹でるとき割れやすく、それより柔らかいとうまく形を保てません。

8. (玉ねぎを炒めた場合は冷ましてから)玉ねぎ、ひき肉、(使う場合は)ハーブ・スパイス、塩、胡椒、水分を入れてよく混ぜ、粘りが出て表面が少し毛羽立つような状態になるまで練ります。

塩を先にひき肉へ混ぜると、ミオシンなどの筋原線維たんぱく質が水相に溶け出し、粘着性(つなぎ)が出ます。玉ねぎや水分を最初から入れても同じ現象は起きますが、肉の中の塩分濃度が薄まりやすく、粘りの立ち上がりに時間がかかります。失敗しにくいのは「ひき肉+塩(+水分)」を先に練って粘りを出し、5〜10分置いてから玉ねぎ等を混ぜる方法です。
ハーブとスパイスはお好みで入れていいですが、最終的にはソースにディルを入れるのと、ベーコン・サワークリームの主張が結構強いので、独特な香りを持つもの(フェンネル、乾燥ディル(生ディルとは香りが別物)、クローブ、スターアニス)よりも、肉の臭みを上手く隠してくれるハーブ(フレッシュのディルやパセリ)やスパイス(ナツメグ、オールスパイス、ガラムマサラ)がおすすめです。

9. 濡れた手でじゃがいもの生地を取り、1cmほどの厚さまで手のひらで平たく伸ばします。
タネを生地の上にのせ、ラグビーボール(=名前の由来どおり飛行船っぽい形)になるように包み込みます。
とじる部分は、生地が薄くなって中身が飛び出しやすいので、生地が少なそうなら付け足します。ひび割れがある場合は、水溶き片栗粉で修復しておくと良いです。

生地対タネの理想的な比率は生地3:タネ1程度。それ以上タネが多いと包みにくく、破裂しやすくなります。逆に生地が多すぎると、食べたときに生地が分厚くなって食感のバランスが悪くなります。

10. 鍋にたっぷりの水(ツェペリナイが完全に浸かる量)と塩(水に対して1%)を入れて沸かします。沸いたら、じゃがいもをすりおろした時に残った液体(上澄み)を加えます。温度が落ちるので、強火で一度だけ沸騰直前まで戻し、そこから弱火〜中弱火で90〜95℃(小さな泡が底から上がる程度)をキープします。
ゆっくりとツェペリナイを入れ、最初の1分だけ底をなでるようにそっと動かして張り付きを防ぎ、その後はぐつぐつさせない状態で20分ほど茹でます。

入れてから「温度を早く戻す」理由は、生地が糊化したでんぷん(茹でジャガイモ)生でんぷん(生のすりおろしジャガイモや片栗粉)の混合だからです。馬鈴薯でんぷんが糊化する温度帯はだいたい60〜66℃。この温度帯をダラダラ通過すると、でんぷんが溶け出て穴が開きやすくなります。一方で、強い沸騰は対流が激しく、生地が崩れたり破裂したりしやすい。なので沸騰は維持せず、90〜95℃で静かにキープが安定します。

11. 炒めておいたベーコンと玉ねぎにサワークリームとディルを加え、混ぜながら温めます。味見して塩で味を決めます。

サワークリームはpHが低く、乳たんぱく(カゼイン)の安定性が落ちやすいので、過剰に加熱すると凝固して分離する可能性があります。ふつふつさせない(沸騰させない)のが大事です。

12. ツェペリナイをお皿に盛り付けてソースをかけ、完成です。

もちもちのじゃがいも生地と肉々しいタネと、サワークリームの酸味・ベーコンの塩味・うま味、玉ねぎの甘味、ディルの香りをバランスよく合わせたソースを一緒に食べると…めんどうくせっ、もとい上手っ!
ほうほう、これがリトアニア人の食べ物か・・・と思っていただければいいが、実際そこまでリトアニア人は作らない。餃子も日本でなじみがあってよく食べられてはいるが家庭で皮から手作りするのは結構珍しいーーそんなイメージ。リトアニアの家庭には、たいてい電動ジャガイモすり潰し器がある(あくまでおばあちゃんの時代の話。今はリトアニアでも時短時代だね)にもかかわらず、作るのが大変なのだ。

リトアニアにあるレストランでは、たいてい2つを1人前として出してくるけど、日本人は1つでお腹いっぱいになるだろう。
レストランによっては、1つから個数を選べるところもあるらしいから、食べきる自信ない人は1つにしたほうがいいよ。
めっちゃ食べれる人でも、他にもリトアニア料理は美味しいものたくさん(?)あるから、とりあえずツェペリナイは1つにしておこうぜ。

作り方分かりにくい…ここ、こうしたほうがよさそう…こんな応用できそう…という意見・感想お待ちしてます!